年末最後のお昼休み映画はアル・ジョルスン『マミィ』
84分、オールトーキーではあるけれど、
1930年のモッチャリした映画はなかなか進まず8分くらい残って年越し
初日の出の後、見てしまおうと思ったものの
この時代の映画のお約束が分からない
残り8分のままの展開だと正月早々後味悪いが・・・
結局見終えると、晴れやかな正月気分
この機会に、我が家に1枚だけあるCDを聞いておこう
と、思い立ったのが元日
しかし、BC(before Crosby)
オペラチックに歌うスタイルは丸々通して聴くには正直しんどい
30曲73分を聴き終えるのが今に
ジャケットは1枚モノで解説無し
改めて調べてみると
アルと言えば、ジャケット・イラストのような黒塗りのミンストレルショー
これが人種差別を想起させると、今では完全無視状態
そういえば、最近出た3枚組は素顔。配慮されているのか
このCDは1988年
そんなにセンシティブになっていない時代なのか
収録曲は
初めての長編トーキー、1927年の『ジャズ・シンガー』から
②トゥート、トゥート、トゥーティー
③マイ・マミィ
主演2作目、1928年の『シンギングフール』から
⑩サニーボーイ
⑯トップ・オブ・ザ・ワールド
⑱ゼアズ・ア・レインボー・ラウンド・マイ・ショルダー
そして、3作目が1930年の『マミィ』
劇中歌は多いけれど、このCDに入っているのは③マイ・マミーだけ?
録音データ等は一切なく、出自不明
曲の後に拍手が入るトラックあり
ラジオ音源?
アルの録音は 1911年からと、とてつもなく古い
ナクソスには、ここからのコンプリートCDが出ているけれど
いやいやこれは要らないよ
1曲目から聞いていくと
①スワニー
アル・ジョルスンの代名詞とも言うべきガーシュイン
アルは、口笛をまじえて声を張り上げて歌っている
調べていくと、ジョージ・ガーシュウィンの追悼、メモリアル・コンサートでも
アルはこの曲を歌っている
このコンサートには縁の人々
フレッド・アステアも出演
しかも、オットー・クレンペラーが指揮している曲まで入っているとなると
これは欲しいな~
続けて聴くと
ジミー・デュランテの歌い方にも似ている
でも、ジミーのようにふざけたところがなく
真面目一辺倒なのが疲れるのか
④にはビンクロとのアレクサンダーズ・ラグタイム・バンド
(ジャケット裏では5曲目が、ウィズ・ビング・クロスビーとなっているが
④の間違い)
ここでも、張り上げスタイルで歌っているアルに
ビンクロはいつも通りの軽妙スタイル
対比の妙か、絶妙のデュエットになっている
歌の途中の掛け合いも含めて、いつ聞いても楽しい1曲
⑤ rock-a-bye your baby
ジュディ・ガーランドのイメージが強いけれど
1918年にアルが吹き込んでいる
⑥ when you were sweet 16
1924年にアルが吹き込んだ曲
⑧ Avalon
1920年に書かれたアルのオリジナル
ビングも歌っているけれどもアレンジが随分違う
⑨Carolina in the morning
1922年の曲
ビング・クロスビーの曲のように書いてあるけれど記憶にない
収録CDは、モザイクレコードの7枚組
それとサザン・メモワール
どちらもきっちりとは聞いていない
⑩ Sonny boy
間奏では、哀願するような語りあり
⑪ is it true what they say about Dixie
ミルス・ブラザーズとの1曲
ミルスが絡むと途端にモダンに
ミルスは基本コーラス
⑫からラジオ音源なのか拍手が入っている
⑬ You made me love you
ジュディ・ガーランドがクラーク・ゲーブルの写真を見ながら歌う曲の認識だけど
1913年にアルのレコードが大ヒット
ビンクロはもちろん、ハリー・ニルソンも歌っているんだ
お、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスも
⑭ give my regards to Broadway
ジェームス・キャグニーの『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』でも使われていたようだけど、オリジナルは1904年と古い
ここではコーラスを伴って歌っている
⑮ I only have eyes for you
邦題が「泥酔夢」と最高の1934年の映画 "dames" でディック・パウエルが歌った曲
⑰ April showers
声を震わせて歌うスタイルは、ジミー・デュランテが笑いを取るための手法と思っていたけれど、ビフォー・クロスビー時代にはポピュラーなスタイルだったんだと実感
⑳以降、馴染みの曲が続く
⑳は、ウエディング・マーチのイントロから
⑳㉑㉒とジュディ・ガーランドのイメージ
そう言えば、彼女は女アル・ジョルスンの異名を取っていたんだっけ
㉒ 映画でフレッド・アステアが街を歩くシーンが刷り込まれているイースター・パレード
アルの歌はアステアの対極
㉓ 初めて聞く曲だけれども、印象に残るハワイアン
㉕ ゴージャスなオーケストラ・アレンジは、タイトルチューンにもなっているナット・キング・コールを彷彿とさせるけれど、歌はジミー・デュランテに聞こえちゃうんだ
㉖ 原曲「ドナウ川のさざなみ」
㉗ 1926年のアーヴィングバーリンの曲
㉘ アフター・ユーブ・ゴーン
ビンクロも歌っているけれど、アルはスローなテンポ
と思っていたら、後半テンポアップ
㉚ 聞いたことのない1911年の曲
『カッスル夫妻』の挿入曲になったり
ナンシー・シナトラがカバーしたりしているみたい
さて、この帯にある「歌う道化師」
映画 "Singing fool " がこの戦前にこの邦題で公開されていたのかと思ったけれど
調べた範囲ではカタカナだった様子
アル・ジョルスンorg というサイトにこのCDが出てました
デッカとクラフト・ミュージック・ホールへの録音
入門アルバムには最適!ってなっているから
アルのCDはコレだけでいいや
1991/07/03 V-STATION(500円)