瓶具黒墨のCDは玉石混交

ビング・クロスビーのCDコレクションを整理を兼ねてアップしています

【この1曲】ダイナ

ラッキーレコードの月報はじっくり見たのに

ざっくり聴いてるだけではもったいない

そこで、今回はダイナ1曲で徹底してみることに

 

オリジナルは1925年に発表

この時はエディ・カンター

ビング・クロスビーとミルス・ブラザーズの録音は1931年

 

日本における初録音は1934年(昭和9年)5月の中野忠晴

その年の12月にはディック・ミネが同曲でデビュー

これは100万枚を超える大ヒットに

(この時代にホントに100万枚?)

 

デッィク・ミネは持っていないけど、YouTubeで簡単に聴ける

ただし、何回か録音しているようでSPレコードであってもどれが最初かよくわからない

ダイナー ディック・ミネ - YouTube

緑色のレーベルは文字が右から左の戦前表記になっているので、これが最古?

ギターが1分ほど前奏~歌詞に入って~最後はトランペットのブレイク

英語の歌詞なし

ダイナ / ディック・ミネ - YouTube 

左から右のSPレコードでは

ご機嫌なトランペットの前奏が1分ほど~歌に入って~途中ドラムのブレイク~

アンサンブルが続いていく

 

さて、手持ちのCDから

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戦前の我が国のジャズSPをこれでもか~!と復刻した労作

4枚組シリーズの1作目

この中の1枚、半分を使ってダイナ12連発の収録

快挙というよりほぼ暴挙
 

収録曲はマイナーレーベルのモノだからか

何年何月発売(録音)と言う特定はされていないものが多い 

が、収録は昭和9年末からの発売順(?)

 

① 日本語詩はクルーナー・スタイル

スキャット部分からテンポアップ

 ※「私語け」は「ささやけ」って読むようだ

 

② こちらも日本語詞はゆっくり歌ってトランペットの音でブレイク

テンポアップした後は英語詞を歌っている

しかし、このスピードで英語を歌うのは英語力に難アリ

スキャットは一切なし

 

③ 歌なしのオーケストラ・バージョン

 

④ こちらは全編英詞

テンポアップした後もスキャットを交えながらの英詞

瀬川先生は解説で、うまいと書かれているけれどもなぁ

 

⑤ こちらは歌詞なしでスキャットだけを繰り広げるパターン

が、そんなにスピードアップしない

 

⑥ 女性歌手が歌うもの

日本語の歌詞を読むと、原文の訳に1番近いかな

スキャットは無し

 

⑦ 解説によると、ボズウェル・シスターズを参考にしている昭和10年9月録音

彼女たちの手持ちのCDは2枚だけ

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その両方に収録されているけど、収録時間も一緒で多分同じ録音

 イラストのジャケットの方は、録音年月日やパーソネル書かれていない

写真ジャケットによると、録音は1934年(昭和9年)12月とちょうどビングとミルスから3年後

レーベルは同じブランズウィックに録音している

ボズウェル盤、基本のバックはピアノとギター

テンポアップするところではトランペット、トロンボーン

そしてコーラスへ

 

 

⑧ 「頌歌」は「ほめうた」と読むようです

 

押韻が素敵「ダイナ~、唄って頂戴な 踊って頂戴な」 

でも、呼応しているコーラスは「頂戴」で止めて「な」無し

 

⑩ こちらはなんと三味線が奏でるインストルメンタル・ダイナ

演奏するは、その名もウェスターン三味線アンサンブル

 

⑪⑫ ダイナのメロディーだけを使って東京6大学を替え歌にして紹介するメドレー

法政と明治はダイナ、続く立教はセントルイスブルース

⑫ B面

慶応は洒落男( ♪ 俺は村中で一番、モボだといわれた男。原曲はアメリカ)

早稲田はマイ・ブルー・ヘブン

帝大は歌なし

 

⑬⑭ こちらもSP版盤両面もの

ヒット6曲を語りで繋げて歌う

その中の1曲にダイナがある

 

以上14トラック

一番新しい⑩で昭和12年8月の新譜

 

 

続いて、ガラッと趣向が変わるあきれたぼういず

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あきれたぼういずのデビュー曲「アキレタ・ダイナ」は、昭和13年8月に予定されていたが検閲で引っかかって発売禁止

CDにも収められていない

収められている2曲は、あきれたぼういずが分裂した後に川田義雄(ソロ)とあきれたぼういず名義で、どちらも昭和14年9月に発売されたもの

 

まずは⑫ 川田義雄ソロの「浪曲ダイナ」

オープニングのメロディーこそダイナだけど

歌詞が始まると全くダイナのメロディで無くなる

♪ ダイナは英語の都々逸で

なんて「ダイナ」を使っての言葉遊び

クロージングもダイナのメロディー

 

川田義雄が抜けた後のあきれたぼういず

7分近い録音でSP時代には両面に亘ってたんだろうけど、つなぎ目らしいつなぎ目なし

♪ またも出ましたあきれたぼういず のテーマから始まって

「さて皆さん懐かしのダイナです」と語り語り掛けているところで、この時点ではもうすでに一般的になっていたものと推察

ここからダイナの歌、コーラスが始まり

途中、坊屋三郎のトランペットの声帯模写でリズムチェンジして高速に

歌詞の内容はめちゃくちゃ

その後はこれでもかと言わんばかりにギャグを詰め込んで

分裂した川田義男の浪曲まで飛び出した後は

坊屋三郎やりたい放題

ベティ・ブープからポパイのものまね

あげくは動物の鳴き声でスキャットを始める始末

 

戦時色がより濃くなってきていたはずのタイミングでこれが発売されるんだったら

発禁になったアキレタ・ダイナは一体どんなん?

 

 

そういえば・・・

レココレ創刊年の6号であきれたぼういずの特集があったはず

とうようさんがこの2曲を取り上げられた記事に

日本におけるダイナの流れも書かれていました

ビング&ミルスの記述はなし 

ラッキーレコードが日本初なら後追いになるもんね

 

 

あきれたぼういずの翌昭和15年4月にはブルース仕様の「センチメンタル・ダイナ」

でも、これは作・編曲ともに服部良一

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1枚目にはオリジナル、2枚目には戦後の映画で使われた録音を収録

イントロからブルージー

トランペットでブレイクした後はスピードアップと

ダイナのスタイルを踏襲している

 

 

瓶具黒墨のブログなので、これなくしては・・・

ビング&ミルスのダイナには2テイクあり

ここには2テイクとも収録

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このライナーによると、テイクBはSP時代には使われず

通常のCDに収録されているのもテイクA

コレとか ↓

でも、2つあるとなると聞きたくなるもの

ただし、スリリングな展開とか完成度でいうと断然テイクA

 

ディスコグラフィー見ると、同日に3テイク録音してるようにも読めるけど

ココ(↓)にも2曲しか入ってないので、3曲目はないのでは

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後年、バディ・コールのピアノトリオと再録してるけど

軽く流してる感じで、オリジナルがオンリーワンの名演と改めて実感!

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