昭和10年(1935年)の新譜案内
ヤフオクに出品されるも、他の月は無くコレ1点
それなりのウオッチ数あるも、スタート価格で落札
表紙はミルスブラザーズ単体だけど
裏表紙には、ビングとミルスのダイナの広告
コレはど真ん中!
チョットは張り込む積りだったので
久しぶりに嬉しい落札だ
モノは、ホッチキス留めの12ページ+表紙
戦前モノなので右から左への表記
ウヰスキーの使い方しか馴染みがないのでブランスウヰックとなるのかと思いきや
「ヰ」はこれだけなんですね
お、小さい「ッ」は使ってたんだ
英語は BROTHER で止まっているように見えますが、折り返した裏面に S があります
表紙の裏面には、知らないグレース・ムーア
伴奏は、男性コーラスではなく、メールコーラス
定価表
全部10インチなのに、赤、紫、黒、青と安くなっていって
青だと赤の半値じゃないか
ご注意
SP=78回転と思ってますが
一分間78回転とわざわざ断り書きがあるから違う回転数もあったんですね
左ページにいくと
ミルスの新譜案内「タイガー・ラッグ」
お目当ての「ダイナ」は先月発売
ならば、4月の新譜案内もぜひとも欲しいところ
1ページを超える紹介では、現在では差別用語になっている表現も見られますが
簡潔に、また、聴いてみたいと思わせる(購買意欲)ような文句が溢れています
タイガー・ラッグは、「スーザフォンの模倣音と「虎よ」と叫ぶトリオがフルスピードで追っかけ合うあたり、全く胸のすくような快演です」なんて、書かれたら
これは聴かずにおれるまい
昔買った5枚組LPに入っていたはずだけど、CDにはない
30年前の記憶でも、確かにスピード感溢れる演奏だった
次ページにはビングの新譜も
小粋な邦題だけど、A面はともかくB面は分からないぞ
肩を抱きしめ:SNUGGLED ON YOUR SHOULDER
君を得て胸は高鳴る:I FOUND YOU
B面は映画『わが胸は高鳴る』の曲かと思ったけど・・・
bingcrosmymovie.hatenablog.com
映画の方も、昭和10年8月には公開されているようなので
どちらともなく便乗ネーミングなのかもしれませんね
しかしこちらのレコードも「ヘレンクロフォードが眞白な指先に情熱をこめて奏し出すパイプオーガンが・・・・」といった具合に過剰なまでに詩的に表現されています
オモシロイな~
左ページのエリントンも、文字起こしまではしませんがイイですね~
こちらでは、5月新譜を一覧に
同じミルスでも値段が違うのが良く分かりません
ビング・クロスビー独唱のレコードは「流行歌」
次ページからは既発売目録
あれ、欠番?
ジャンル毎に掲載されているため、番号が飛んでいます
最後は、何故か左から右読みに
何故だ~?
ビングのレコードは3枚
全て「流行歌」
でも値段は違って1円20銭と1円50銭
ミルスとのダイナは2円
何故だ~?
裏表紙には、その2円のダイナ
「このダイナを聞かないでダイナを知っているとは云えないデス!」
と、時空を超えた半沢直樹のようなデス使いデス
閑話休題、この表現だと、ダイナもどきが溢れかえってそうデス
ビング&ミルスの録音は1931年12月16日
録音から、この月報まで4年半
昭和14年9月の「ダイナ競走曲」では
「さてみんさん、なつかしのメロディ、ダイナです」と歌っています
「なつかし」というからには、これ以前にも・・・
この4枚組の3枚目には、日本版ダイナ10連発という執念すら感じる収録
でも、すべて昭和10年前後
じゃあ、機運が熟成、いよいよ真打ち登場って感じだったのかな
印刷:昭和10年4月10日
発行:昭和10年4月15日
このようなレコードの新譜月報を入手したのは今回初めて
これは、映画のプログラムよりオモシロイかも!
ヤフオク(800・140)
【参考文献】
英題の確認は西島経雄氏の記述から
このような資料性の高いものを一過性の雑誌だけに載せてあるのは文化的損失だと思うな