瓶具黒墨のCDは玉石混交

ビング・クロスビーのCDコレクションを整理を兼ねてアップしています

【CD】JAZZ SINGER 1931-1941 ~何の情報も無いHMVのセール品、なのに大当たりの必携品~

前回の紹介では、ダイナのテイク違いで嬉しい衝撃

そんな風に書いたけれど、このCDなら一撃

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【ドイツ】CHALLENGE RECORDS

                   RETRIEVAL RTR 79054

      20ページのホッチキス留めライナーには

      パーソネルを含む詳細なディスコグラフィー、解説(CHRIS ELLIS)

コンパイル、レストアの他に原盤提供者の名前まで

ジャケット裏に誇らし気に記載

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購入時は、ジャケット・ノーイメージだし、曲目なんてのもなく

値段が安かっただけのHMVセール品

でも到着したブツは、テイク違いは収録されているし

パーソネルやら録音場所を含んだ詳細なディスコグラフィカル・データと

ビンクロファン必携のCDになっている



f:id:derbinglejp:20221127223036j:image1931年12月16日のダイナから1941年5月26日の給仕とポーターと2階のメイドまでの

24トラックをクロノロジカルに収録

 

① ダイナ 

二つのテイクを収録しているが、こちらは正規盤で聞けるもの

SPでもこちらを発売とある

 

② ダイナのテイク2

78回転では発売されていないとあるが

アメリカ以外の国では売ってたんじゃないかな

2分45秒あたりのノイズがないため前回のチャーリー盤とは元が違うはず

 

③ シャイン

引き続きミルス・ブラザーズとの録音

ギターはエディー・ラング

ここでのスキャットもめちゃくちゃかっこいい


④ Sweet Georgia Brown

前曲から2か月後の4月録音

クラリネットウディ・ハーマンは分かるけど

イントロで印象的なトランペットは3人のうちの誰なのか?

しかし、いずれも聞いたことのない名前

シカゴ録音とあるから現地メンバー?

 

ライナーによると

LP時代に登場したテイクBは、Aの速度を上げてダビングしただけのもの

 

⑤ Some of these days

1か月後の録音けは同じくシカゴ

Cメロディー・サックスのフランク・トランバーが参加

ここまでの5曲、全部スキャットしてるな~

⑥ Please

同じ年の1932年9月、サンフランシスコでの録音

パーソネルは不明だが

ギターのエディー・ラングだけは明記

バラードの歌では口笛とともにスキャット

⑦ Sweet sue just you

レニー・ヘイトンのピアノのみで歌うバージョンはSP発売無し

1932年10月ニューヨークの録音

 

⑧  I've got the world on the string

そのまま滞在していたのか、1933年1月26日の録音もニューヨーク

スタジオ・オーケストラの伴奏とあるが

トランペットにバニー・ベリガン

トロンボーンにトミー・ドーシー

クラリネットベニー・グッドマン

エディー・ラングも参加している

これだけのメンツが揃っているのに

ほとんどがオブリガードで

クラリネットからトロンボーンへのソロがほんの少しだけ

⑨ そして、この豪華メンバーにミルス・ブラザーズを加えたのが

マイ・ハニー・ラヴィン・アーム

しかも2テイクという豪華仕様

基本、ミルスのパートではオーケストラは休憩?
満を持して飛び込んでくる最後のホーン隊は模写じゃない


⑩ ダイナなほどに違いを感じないテイク2

最後の辺の節回しが違う位かな

⑪~⑬ 2か月後の1933年3月14日録音もニューヨーク

ドーシー兄弟のオーケストラ名義になったけど

トランペットにはバニー・ベリガン

ただし、ギターのエディ―・ラングの名前がなくなっている

この曲からエディー・ラングの名前が消える

彼は1933年3月26日にニューヨークで死去

 

⑪ Someone stole Gabriel's home

イントロからスイングしまくるバンド・アンサンブル

ジミー・ドーシーのまとわりついてくるオブリガートが絶品

間奏のソロはトランペットからサックス

 

⑫⑬ Stay on the right side

イントロのバンドアンサンブルは全く同じ

テイクBの方がAより歌の感じが早い

⑭ Love is just around the corner
1934年11月の録音はロサンゼルス
ここからデッカへの録音
途中、高速口笛も登場する1曲

 

⑮⑯ moonburn の2テイク

途中、ビンクロが「ムーンバーン、ジョー」と語りかけているのは

ピアノのジョー・サリバン

どちらのテイクにもこの語りかけがあって

2つのテイクの違いはよくわからない

 

⑰ 他のCDにもよく収録される「俺らはカーボーイ

コーラスが誰かって?

そんなの気にしてなかったけれど

ライナーではジミー・ドーシー楽団の歌えるメンバーで考察

 

smarty

 最初期に購入した Bing Crosby sings again

散々聴いたからか快調な曲調は記憶に残る

ドラムスは冗談音楽のスパイク・ジョーンズ

 

⑲ Basiln Street blues

コニー・ボズウエルとのデュエットは

コニーのドスが効いた低音の魅力にビンクロの魅力も倍増

 

⑳ You must have been a beautiful baby

トランペットにビリー・バターフィールドの名前が見える

間奏で唯一のソロが彼?

先のチャーリー盤では尻切れトンボになっていたもの

今回は最後までキッチリと

 

㉑ Rhythm on the river

映画の主題歌だけど他ではあまり聞かない

ライナーには、サウンドトラックが収録できなかったことが残念とある

 

㉒ You ain't kidding

1941年5月のラジオ録音

コニー・ボスウェルとのデュエットは

途中の語りも含めてゾクゾクさせる仕上がり

長時間のトランペット・ソロはアンディー・セクレスト?

ポール・ホワイトマン時代に一緒だった様子

 

ギターがペリー・ボトキングになっているのは誤植、ご愛嬌

 

㉓ my melancholy baby

ペリー・ボトキン(誤植なく印字)のギターと

ジャック・ティーガーデンのトロンボーンが静かに流れる中での

ビンクロの静かな歌唱が始まるのは2分30秒

 

「PCS・・・」で始まる見慣れないマトリックスは何?

ハリウッド録音はサウンドトラック?

映画『ブルースの誕生』からの1曲だけど珍しい音源


㉔ 他でももよく聞く「給仕とポーターと2階のメイド」

 

改めて収録曲のマトリックスを見ると、テイクは1かA

ワン・テイク・クロスビーたるユエン

 

20ページの解説は、彼の生涯を1ページにコンパクトに

僕が知る限り間違いなくまとめられている

2ページ目の冒頭には「お風呂で歌っているスタイル」と言う記述

先のCDで発見したアニメーションのイメージなんだと合点

その後は曲ごとの詳細な解説&写真

最後の2ページは79001から79053まで(このCDが79054)の53枚のCDリスト

よくぞここまでといった聞いたことのない名前のオンパレード

でも、マニア心を納得させる仕上がりなんだろう

 

SPのレーベル面を模したからには「78回転」

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2014/8/18  HMV(807)