前回の紹介では、ダイナのテイク違いで嬉しい衝撃
そんな風に書いたけれど、このCDなら一撃
【ドイツ】CHALLENGE RECORDS
RETRIEVAL RTR 79054
20ページのホッチキス留めライナーには
パーソネルを含む詳細なディスコグラフィー、解説(CHRIS ELLIS)
コンパイル、レストアの他に原盤提供者の名前まで
ジャケット裏に誇らし気に記載
購入時は、ジャケット・ノーイメージだし、曲目なんてのもなく
値段が安かっただけのHMVセール品
でも到着したブツは、テイク違いは収録されているし
パーソネルやら録音場所を含んだ詳細なディスコグラフィカル・データと
ビンクロファン必携のCDになっている
1931年12月16日のダイナから1941年5月26日の給仕とポーターと2階のメイドまでの
24トラックをクロノロジカルに収録
① ダイナ
二つのテイクを収録しているが、こちらは正規盤で聞けるもの
SPでもこちらを発売とある
② ダイナのテイク2
78回転では発売されていないとあるが
アメリカ以外の国では売ってたんじゃないかな
2分45秒あたりのノイズがないため前回のチャーリー盤とは元が違うはず
③ シャイン
引き続きミルス・ブラザーズとの録音
ギターはエディー・ラング
ここでのスキャットもめちゃくちゃかっこいい
④ Sweet Georgia Brown
前曲から2か月後の4月録音
イントロで印象的なトランペットは3人のうちの誰なのか?
しかし、いずれも聞いたことのない名前
シカゴ録音とあるから現地メンバー?
ライナーによると
LP時代に登場したテイクBは、Aの速度を上げてダビングしただけのもの
⑤ Some of these days
1か月後の録音けは同じくシカゴ
Cメロディー・サックスのフランク・トランバーが参加
ここまでの5曲、全部スキャットしてるな~
⑥ Please
同じ年の1932年9月、サンフランシスコでの録音
パーソネルは不明だが
ギターのエディー・ラングだけは明記
バラードの歌では口笛とともにスキャット
⑦ Sweet sue just you
レニー・ヘイトンのピアノのみで歌うバージョンはSP発売無し
1932年10月ニューヨークの録音
⑧ I've got the world on the string
そのまま滞在していたのか、1933年1月26日の録音もニューヨーク
スタジオ・オーケストラの伴奏とあるが
トランペットにバニー・ベリガン
トロンボーンにトミー・ドーシー
エディー・ラングも参加している
これだけのメンツが揃っているのに
ほとんどがオブリガードで
クラリネットからトロンボーンへのソロがほんの少しだけ
⑨ そして、この豪華メンバーにミルス・ブラザーズを加えたのが
マイ・ハニー・ラヴィン・アーム
しかも2テイクという豪華仕様
基本、ミルスのパートではオーケストラは休憩?
満を持して飛び込んでくる最後のホーン隊は模写じゃない
⑩ ダイナなほどに違いを感じないテイク2
最後の辺の節回しが違う位かな
⑪~⑬ 2か月後の1933年3月14日録音もニューヨーク
ドーシー兄弟のオーケストラ名義になったけど
トランペットにはバニー・ベリガン
ただし、ギターのエディ―・ラングの名前がなくなっている
この曲からエディー・ラングの名前が消える
彼は1933年3月26日にニューヨークで死去
⑪ Someone stole Gabriel's home
イントロからスイングしまくるバンド・アンサンブル
ジミー・ドーシーのまとわりついてくるオブリガートが絶品
間奏のソロはトランペットからサックス
⑫⑬ Stay on the right side
イントロのバンドアンサンブルは全く同じ
テイクBの方がAより歌の感じが早い
⑭ Love is just around the corner
1934年11月の録音はロサンゼルス
ここからデッカへの録音
途中、高速口笛も登場する1曲
⑮⑯ moonburn の2テイク
途中、ビンクロが「ムーンバーン、ジョー」と語りかけているのは
ピアノのジョー・サリバン
どちらのテイクにもこの語りかけがあって
2つのテイクの違いはよくわからない
⑰ 他のCDにもよく収録される「俺らはカーボーイ」
コーラスが誰かって?
そんなの気にしてなかったけれど
ライナーではジミー・ドーシー楽団の歌えるメンバーで考察
⑱ smarty
最初期に購入した Bing Crosby sings again
散々聴いたからか快調な曲調は記憶に残る
ドラムスは冗談音楽のスパイク・ジョーンズ
⑲ Basiln Street blues
コニー・ボズウエルとのデュエットは
コニーのドスが効いた低音の魅力にビンクロの魅力も倍増
⑳ You must have been a beautiful baby
トランペットにビリー・バターフィールドの名前が見える
間奏で唯一のソロが彼?
先のチャーリー盤では尻切れトンボになっていたもの
今回は最後までキッチリと
㉑ Rhythm on the river
映画の主題歌だけど他ではあまり聞かない
ライナーには、サウンドトラックが収録できなかったことが残念とある
㉒ You ain't kidding
1941年5月のラジオ録音
コニー・ボスウェルとのデュエットは
途中の語りも含めてゾクゾクさせる仕上がり
長時間のトランペット・ソロはアンディー・セクレスト?
ポール・ホワイトマン時代に一緒だった様子
ギターがペリー・ボトキングになっているのは誤植、ご愛嬌
㉓ my melancholy baby
ペリー・ボトキン(誤植なく印字)のギターと
ビンクロの静かな歌唱が始まるのは2分30秒
「PCS・・・」で始まる見慣れないマトリックスは何?
ハリウッド録音はサウンドトラック?
映画『ブルースの誕生』からの1曲だけど珍しい音源
㉔ 他でももよく聞く「給仕とポーターと2階のメイド」
改めて収録曲のマトリックスを見ると、テイクは1かA
ワン・テイク・クロスビーたるユエン
20ページの解説は、彼の生涯を1ページにコンパクトに
僕が知る限り間違いなくまとめられている
2ページ目の冒頭には「お風呂で歌っているスタイル」と言う記述
先のCDで発見したアニメーションのイメージなんだと合点
その後は曲ごとの詳細な解説&写真
最後の2ページは79001から79053まで(このCDが79054)の53枚のCDリスト
よくぞここまでといった聞いたことのない名前のオンパレード
でも、マニア心を納得させる仕上がりなんだろう
SPのレーベル面を模したからには「78回転」
2014/8/18 HMV(807)